ピック病
ピック病の特徴
近年、高齢者の常習万引きが社会問題になっています。万引き常習犯の人には世間の冷たい風があたりがちですが、最近の研究でこの方々の一部は、ピック病という病気であることがわかってきました。
アルツハイマー型認知症とよく間違えられますが、違うタイプの認知症で,前頭側頭型認知症(FTD)と呼ばれるものの一種です。悪いことをする(脱抑制)、同じ行動を繰り返す(常同)、何もしない(アパチー)が主な症状です。なかでも脱抑制症状としての万引きや甘いもの好き(シュガースティックを何本も飲むなど)がみられればピック病の疑いが強まります。アルツハイマー型と違うところは、道に迷わないことです。
また、ピック病は認知症ですが40代のような若年者に多いのも特徴です。若年性アルツハイマー病と思っていた人がピック病だったということもあります。 ピック病は世間一般の認知度が低く、周囲に理解してもらいにくい病気です。本人や周囲の人の精神的苦痛を和らげるためにも、現在原因や治療法の研究がすすめられています。
参考:http://dr-kono.blogzine.jp/ninchi/cat10282063/index.html
症状
ピック病では、反社会的行動が目立つといわれています。実際に、万引きを代表に放火や窃盗、ひき逃げ、性的脱抑制などの行動がみられるようです。気の赴くままに周囲を無視して無遠慮な言動を取ります。反社会的な行動のほかにも、感情の鈍麻やうつ傾向などがみられ、これが最初に気づかれやすい異常です。焦燥感が強くなったいり、多幸的になったりすることもあります。
一般的に、よく見られる症状としては、長時間無目的に行われる常同行動です。同じ時間帯に同一の道をを歩き回る散歩がよくみられます。徘徊とは異なり、迷うことはありません。この散歩の途中で万引きをすることも少なくありません。
経過は個人差がありますが、初期は人格や感情の変化、病気である認識の欠如が目立ちます。中期では失語のような認知機能障害が特徴です。末期になると、言語障害がさらに進行して無言症状がみられます。そして、寝たきりになり、手足が硬直していきます。
ピック病を疑うチェックリスト(宮永和夫編)
40~70歳代で、以下のリストのうち3項目以上当てはまればピック病が疑われます。
- 1.状況に合わない行動: 身勝手な行為・状況に不適切な悪ふざけなど
- 2.意欲減退: 原因不明の引きこもり、何もしない
- 3.無関心: 服装や衛生状態に無関心で不潔になる。周囲の出来事に関心を示さなくなる
- 4.逸脱行為: 万引きなどの軽犯罪を繰り返す。反省しない
- 5.時刻表的行動: 散歩など決まった時間に行う。とめると怒る
- 6.食物へのこだわり:毎日同じもの(特に甘いもの)しか食べない。際限なく食べる場合ある
- 7.常同言語、反響言語:同じ言葉を際限なく繰り返したり、他人の言葉をオウム返し。静止しても一時的にやめるのみ
- 8.嗜好の変化:好きな食べ物が変わる。飲酒・喫煙が多量になるなど
- 9.発語障害・意味言語:無口になる。はさみやめがねなどを見せても言葉の意味や使い方がわからなくなる
- 10.記憶・見当識は保持:最近の出来事など覚えているし日時も間違えない。道も迷わない
※中日新聞 平成17年9月23日より
治療
本人が病気であるという認識が欠けていることが多く、受診や通院は簡単ではありません。
現在のところ、確立された治療法はなく、対症療法や介護が中心になることが多いようです。徘徊や多動などの行為に対しては精神系の薬が使用されることもあります。なお、レビー小体型認知症で有効とされたアリセプトは、ピック病ではメリットがありません。
介護
アルツハイマーと比べて初期のうちは記憶が保たれていることが多く、場所やスタッフを覚えやすいことをいかしましょう。突然何も言わずにどこかにいってしまう「立ち去り行動」がみられることがあるので、注意が必要です。注意を引きやすいものを常にみせたり、渡したりすることで、注意をひきつけるようにするのも一つの手です。繰り返し行動については、散歩だけでなく、カラオケや編み物のような新たに望ましい行動を作るということもできます。







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